SSブログ

『一条さゆりの真実―虚実のはざまを生きた女』 [ストリップの過去や読んだもの]

『一条さゆりの真実―虚実のはざまを生きた女』加藤詩子 2001年

「落ちぶれた」伝説のストリッパー一条さゆりを最後に看取った人が書いた本。
これはすごい…

一条さゆりという人自体が、複雑で、正直めちゃくちゃ面倒くさくて、
とにかく受け身で、相手に気に入られようとして自然に嘘をついてしまう人である、
ということに驚いた。
なんと、裁判で話していることすらも嘘ばかりなのだ!

観客を「自分はこの踊り子さんに愛されている」と思わせるぐらい、
すごい芸であったときく。
そのためには、こんな生い立ちとこんなメンタルでないといけないんだろうか。
陳腐な表現だが、業が深い。

そして、聞き手の努力と能力にも驚く。
こんな面倒くさい人にしっかりつきあって、時に放り出したくもなりつつ、
最後まで看取り、生い立ちを調べていくのだ。
大嘘をつかれていたと明らかになっても!

次から次へと嘘がわかって驚愕しつつも、
でもそれを必死に組み立てなおしていく。
そこで立ち上がってくる、「一条さゆりの真実」。

作者はこのあと、トラウマ治療の専門家になったというのだから、
もともと才能があったのだろう。
一条さゆりに出会って天職を見つけた、と言えなくもない。

最初っからすごい話の連続なんだけど、
最後まで、どんでん返しだらけ。

分厚い本だけど全く飽きさせない。
2021年5月に広島第一劇場に行く新幹線の行き帰りで読破しました。

ちなみに、この本の中で唯一自分に番近いと思うのは、
一条さゆりは女性の性を解放してくれている、と思いこんで、
裁判支援に登場するフェミ系の女性です。
こういう、ある種「勘違い」する人は、昔からいたんだなあ。


歴史の証言としては…

本番生板ショー全盛の前で、オープンすること自体が特別視されていた時、
オープンして、ろうそく垂らしたり、牛乳か何かを仕込んでおくことで人気に。
客が夢中になり、警察は摘発し、裁判になったけど、
裁判の途中でどんどん本番生板ショーが普及してしまい、
何が罪なのかよくわからなくなっていったという…。

でも、そうした芸をする前はバックダンサーとして踊っていた時代もあって、
(ソロ以外の出し物があったんですね)
むしろその時代のほうが彼女本人としては楽しかったのではないか。。

あと、裁判まではすごく持ち上げておきながら、落ちぶれたあとは全然、
っていう人たちがね…たくさんいたのも、けっこうつらかった。



nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。