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ストリップの青春とは?『僕のストリップフラフィティ』 [ストリップの過去や読んだもの]

『僕のストリップフラフィティ』石川誠 1995年

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ストリップ関係の本はたくさん読んでいて、
感想を載せたいのがたまっているんだけど、
これは最初に載せずにはいられないぐらい、ちょっと衝撃だった。

正直、ドン引きーーー
な本です。

でも、なんでドン引きなのかを考えると、けっこう難しい。

1959年生まれの男性が、
高校2年生のとき(つまり1975年ぐらい)に本番生板初体験。
その後しばらくブランクがありつつも、
1990年頃まで本番生板を楽しく享受。

…するだけでなく、舞台上で外国人の踊り子さんをナンパして、
その後、肉体関係を主とした短期間の恋愛を次々と楽しむ、という経験談。

そんなことが可能だったんかーー。

ある時期から、劇場の目が厳しくなったり、
踊り子さんがお金を要求してくるようになったそうだ。
それは容易に想像できるけど、
逆にそれまでは、劇場が黙認していたというのも、
踊り子さんが自主的にノーギャラで客と楽しく会っていたというのも、
予想外。

はじめてのとき(1975年ぐらい)は、本番生板自体はあったけど、
参加する人が少なく、みんな尻込みしていたとのこと。
しかし、2年後にはじゃんけんして争奪戦になっていたとのこと。
一日何回も参加する人もいたり。
こうした証言は貴重ではある。

全体的にすごく軽くて読みやすく、楽しい青春の思い出、という読後感。
表紙にも、バブル期のわたせせいぞうのような絵が描いてある。

それが逆に、引く。

とにかく外国人女性とやりたい。できれば金髪。
アメリカ人がいいけど、無理っぽい。
ていうかどこの国の人かよくわかってないけど、いいや。
より多くの女性とやりたい。

その発想自体が、自分の価値観とは相いれないー。

でもそういうお客さんがたくさんいたから、繁盛していたんだよね…。

騙されて日本に来た女性たちが気の毒だとは思わないのかな。
腹をくくって仕事をしているのだから、
お金を落としてあげたほうがいい、っていうのはわかるけど。
数千円でできる風俗なんてほかにない、って言うけど、
それだけ踊り子さんに行くギャラが少ないってことだよ???

踊り子さんがこの人とつきあっていたのは、
雇い主からやらされる仕事ではなく、
自分で選んですることだから、楽しかったんだろうな、とは思う。
この人はスペイン語を勉強したりして、仲良くなろうとはしているから、
舞台上よりも心のある人間関係が築けたんだろう。

にしても、今我々が観ているものとは、全然、違うのだなあ。。。

今、踊りながら丸出しにして「見せている」ことと、
「本番をやらせる」ことと、
どう違うかって言われると、なんだろうな。
リスペクトがあるかどうか、だろうか。
いや、でも、そんなんわからないよな。
リスペクトをもって本番やってた人は少ないかもしれないけど、
今だってリスペクト無しで見ている人はいるだろう。

でも、「その仕事と別の仕事(好きなのを選べる)と、どっちがいいですか」って聞いたら、
本番生板の踊り子さんは別の仕事を選んで、
今の踊り子さんは踊り子を選ぶんじゃないかな。

今の踊り子さんは、インタビューなどを読んでも、
好きでやっている、という方が多い。(それ自体、私の幻想なのかもしれないが)

自分も、ダンスがうまくて若ければ、そして体力があれば、
今の踊り子になら、なりたい気もするけど(ほんとか、おい(笑))、
本番生板は、無理だな。
なんでだろうな。

誰かに自分の体内を預けるっていうのは、
相当な危険を覚悟することだからかなあ???
ましてや大勢に見られながらっていうのはもっと怖い。

全然関係ないかもしれないけど、
飼っている猫の、雄猫のそれは外についてて、
時々舐めた拍子ににょきっとなるのを微笑ましく見てるけど、
雌猫のそれは普段は見えなくて、
皮膚炎の薬を塗ろうとして毛をかき分けているときとかに、
偶然そこを開いてしまうと、「わああっ、こんなところに!」て思う。
やっぱり体の「外」と「中」の違いは感覚的に大きい気がする。

生板をしていた踊り子さんを貶めたいわけじゃない。
多分、トーク技術とかも必要で、ただやらせるわけじゃない、
いろんな芸が必要だったんだと思う。
でも、本心から志願してやる人はほとんどいなかったんじゃないか。
だから、それを「楽しいなっ」「青春!」と能天気に享受することには、
かーなーり抵抗を感じる。

戦前とか戦後すぐぐらいの風俗関係のガイド本とか読んでると、
ドン引きしつつも「昔のことだしな」と思えるんだけど、
1975年はすでに自分が生まれているだけに、けっこう衝撃でした。


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