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対照的な大物二人 『浅草ロック座の母』『ストリップの帝王』 [ストリップの過去や読んだもの]

この2ヶ月、劇場に行けていないので
(体調悪い→コロナ怖い→どうせならワクチン打ち終わってから行こう)
本をいろいろ読んでました。

まずは、裏の大物の伝記を2冊。


『浅草ロック座の母』斎藤 智恵子 2017

本人著となってますが、聞き書きと思われます。

戦後すぐ、21歳のときに、
旅回りの大衆演劇の男に惚れこんで結婚して、
その一座の一員になって、芸を覚えた、という出だしが、
かつてはそういう芸能がたくさんあったんだよなあ、としみじみ。

で、夫の女癖が悪くて離婚して、
ストリップの踊り子さんに日舞とかを教えていたら、
出てください、と言われて出たのが35歳。昭和36年頃。

当時としても年増だったそうですが、
子ども(夫が育てていた)に仕送りするお金のために脱いだそうです。
脱ぎたくて脱ぐ人はいない、と。
今はちょっと違うかもしれない。

もともと裁縫学校に通っていたのでお裁縫もできるし、
母親譲りの商才があったので、
劇場を買い、踊り子さんをたくさん抱え。

旅回りの太夫元もやったそうです。
(昔はコメディアンとバンドマンと踊り子数人とで全国を回っていた、そのリーダーが「太夫元」)。

そのころは1時間半がストリップで1時間が軽演劇だったんですって。

ちなみに、昭和20年代後半から30年代前半の全盛期を経て、
ストリップ劇場は売りに出されることが多かったそうで、
安くたくさん買えたそうです。
ほかは売っても、伝統あるロック座だけは売らなかったとのこと。

すごいなと思うのは、
本番ショーを「こんなのは女の子が不感症になってしまう!」と
一切やらなかったこと。

そして、後継ぎの息子(別れた夫との間の子どもと上手くいってたんですね)が、
昭和60年に劇場をリニューアルしたとき、
ショーとして見せられるようにミラーボールをつけたり、
小屋以上のものにしたこと。

これが結果的に、今生き残っている一つの要因なのではなかろうか。

あ、あと、今ロック座で振り付けをしている、元踊り子の雅麗華さんは、
養女だそうです。昔の従業員夫婦の子供らしい。


『ストリップの帝王』八木澤高明 2017

瀧口義弘という人物の評伝。
著者は、風俗関係のルポを読んだことがある。

滝口は、もとは銀行員だったのに、
姉が人気ストリッパー桐かおるで、
姉が経営している劇場に突然呼ばれて、裏方に。

この人も商才というか、なんなんですかね、
はったりがきくんでしょうか、虚無的な怖さがあります。
劇場もたくさん持ってたんだけど(その最後が諏訪フランス座)、
メインの仕事は、「コース切り」。

今でも、どの踊り子さんがどの劇場に出るか、を
「コース」って言いますね。
「来月のコース決まりました」とか。

何百人という踊り子さんを任されて、コースを切っていたそうです。
それだけでマージンがたくさん入ってくるわけ。
月収2億円のときも!

そして、この方の大きな影響は、本番ショー。

コロンビアとか、外国から女性がダンサーをやるつもりでやってきて、
でもじつは最初から本番がメインだった、
というのは当時社会現象になっていて、子どもの私でも知ってました。

その大きな元締めだったのです。

「そうしないと彼女たちが困るから」
「法律のいい悪いじゃない」

それはわかる。

でも、結果としてそれが、ストリップは過激→取り締まる→風営法改正で
新しい小屋が二度と作れなくなる、になった。

そもそも、女性がそういうふうに搾取されることは、いいことではないよね?
本当だったら、ダンサーになるはずだったのに、騙されてるその仕組み、
良くないよね?

自分がいる業界が今後どうあるべきか、
どうしたら生き残れるか、
どうしたら多くの関係者が本当の意味で幸せになれるか、
考えようよ……

まあ、そんな発想は無いんだろうな。
目の前の「仁義」が最優先なんだろう。

あ、浅草ロック座の母のことを「お金に汚い」って怒ってました。
この人はこんなに儲けたのに、全部ギャンブルに使っちゃう。
浅草ロック座の母はとにかく倹約。
本番ショーだけでなく、対照的。

ちなみに、二人ともに共通しているのは、
ヤクザにすごまれたりしても、一切たじろがないこと。
猫のケンカと同じで、たじろいたほうが負けなんですよね、わかります。

あと、寝ないこと!
二人とも、毎日、多くても2~3時間しか寝てないんですよ。
だからこそ、大量のいろいろをさばけるんですよねえ。
体質とはいえ、すごいことです。


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まさご座は竜宮城だった [キャバレーつながり]

事前に「SNS禁止」「写真禁止」とのお触れが出ていたので、
SNSじゃないけど、一応、ぼかして書きます。

連休に、とあるイベントで、はじめて、まさご座に行ってきました。
ストリップ劇場だけど、公演ない期間もあって、貸してるんですね。

これがもう、素敵な劇場で。
なんか、かわいいんです。

すごく天井が高くて、宇宙みたいな柄の壁紙で。
盆を囲んで、コロッセウムみたいに丸く客席が配置されています。
でも、最前列がかなり低くなってるので、安心。
本舞台を飾る枠(なんか正式名称あったはず)が綺麗な曲線で、
幕はドレープで上にあがるやつ(これも正式名称忘れた)
左右に鏡、天井の鏡にはロココな装飾が。
そもそも、入り口で靴を脱いで預ける(明治時代の劇場みたい!)ので中は絨毯!
居心地がすごく良いです。

強いて似たものを探すと、
70年代にたくさんできた、お城を模したラブホテル、かなあ。
サイケと乙女ちっくの合体というか。

今まで行ったことのあるストリップ劇場は、
別に不快なことは何もないけど、
仮設小屋で建材を黒く塗りました、的な、
アングラ感が満載で、それはそれで風情があるけど、
正直、落ち着くとか、ここが自分のホームだ、とは全く思えない。
どこかで、場違いな感じを持ってました。
一日中いられないのは、体力だけじゃなく、劇場のテイストもあるのかも。

でも、まさご座は違う。ここにずっといてもいい!!

あーーー、なんでこんなに遠いんだ。
名古屋までもそこそこ遠いのに、そこから在来線で25分。
しかも岐阜駅から徒歩20分!
行きは駅前からタクシーあるけど、帰りは流しのタクシーなんて全く通らない。
バスも本数少ない。
どこでもドアがほしい。

あ、でもトイレが男女共用なのは、居心地悪いですね、さすがに。


イベント自体、とても素晴らしく。
ストリップの踊り子さん(引退された方含め)はもちろん、
ストリップではないダンサーさんが、光る盆の上で踊る姿は、
めったに見られるものではなく。
しかもリボンさんまで!

劇場の素敵さもあいまって、
私、今、竜宮城にいる!! と思いました。
行って良かった…。

なお、男性の出演者もいて、すごい芸だったのですが、
こうしてストリップ劇場で見ると、
あ、私、男性の肉体はまったく好きじゃない、と再確認してしまったり(笑)
でも、ちゃんとストリップや盆に合わせた演目になっていたようで、敬意を感じました。

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